浜に腰を下ろし、小石や砂利をひとつかみ、てのひらに乗せてみると‥なんと彩りが豊かなことでしょう!

恥ずかしいことに、ごく最近、それを知りました。黒いもの、暗い灰色、緑、暗い赤、明るい茶褐色、白、白地に黒のごま塩、黒地にライスチョコのような白い粒々、もうキリがありません。渚線に沿って、だいたい同じ大きさの粒がそろうので、石たちの特徴はくらべやすく、この楽しみは容易に味わえます。

平塚市博物館の夏休みの特別展は、こうした石ころたちがテーマです(もっとも、こちらは川原の石が題材です)。

川原の石は、相模川、酒匂川など水系ごとに特徴があり、それは水源にある山々の構成から影響を受けています。たとえば火山性の石も、白っぽい、黒っぽいなど親の山次第の特色があるそうです。担当の学芸員から展示解説書の原稿を渡され、決裁のために目を通しながら、いつのまにか夢中で読んでしまっていました。

浜で石を拾った動機も、この解説書です。

海も、川から石の供給を受けています。潮騒を聞きながら、てのひらの小石たちに、どこから来たかと尋ねてみたくなりました。

でも、そんなことをしたら一斉に方々の山の名をわいわい答え始め、収拾がつかなくなりそうです。どんな小石も、生まれ故郷の山を自慢に思っているに違いありません。たとえばある石が、あちこちに何か黒い細かな結晶を、もうキラキラ光らせているように。
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2017年8月1日発行地域コミュニケーション紙「しお風」から転載
平塚市博物館長の澤村泰彦さんが専門の星のことに限らず、博物館的日々の面白さを連載しているコラムです。
バックナンバーは「しお風」ホームページでご覧いただけます。
こちらです。