文学、芸術、建築としても価値が高い昭和の名作住宅が今も二宮に継承されています。それは、旧山川秀峰・方夫邸。
旧山川邸
日本近現代建築史が専門の東大名誉教授藤森照信さんが書いた「現代住宅併走」の旧山川秀峰邸「民家と茶室のコラボ」を読んで、その魅力を読み解いてみました。

日本の伝統建築の美に着目し新興数寄屋を大成させた吉田五十八が設計し、民家風と茶室風を融合させた画期的な住宅。

門から家屋の全貌は見えず、どんな工夫がなされた建物か期待に胸膨らみながら、玄関まで緩やかに曲がった延段を進むと、蜜柑の向こうに瓦葺きの家屋。昔の玄関の入り口は障子、壁面には、横木のデザイン。
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たたきに立つと目の前は板の間、真正面に太い大黒柱。

さらに進むと元画室の天井は手斧で削った何本もの丸太梁が露出、平らな部分は網代で支える桟は細い丸太。これには驚かされます。
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元画室の入り口の対面側の障子を開けると外に出られます。外から見ると、飛び石の路地が延び、皮付きの細い柱に支えられた軒の下に小さな土間、そして縁があり、障子を開けると元画室。茶室でいう土庇の造り。
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美人画で有名な日本画家山川秀峰が「どうせ海岸に住むのなら、海の一番よく見えるところにしよう」と疎開先の別荘を昭和18年に建て、急逝する翌年までここで創作。

息子の方夫は戦後「三田文学」を復活させた編集者で、芥川賞候補に4度もあがるなど活躍し、現代文学の先駆者・天才と言われています。

14歳から急逝する34歳まで20年間ここで暮らし、海が見える窓の前の机で執筆した山川文学に大きな影響を与えています。
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 しお風 神保智子