8月10日に発行した地域コミュニケーション紙「しお風」90便の3ページに掲載した「みんなのお便り~消滅の町に借金でなぜバベルの塔を」への反論がありました。

この反論にしお風コメントを添えてメルマガ「しお風いどコミ」第821話に紹介し、意見や感想を求めたところ、中井さんから説明が寄せられましたので、ここに転載いたします。

みなさんもご意見、ご感想をお寄せください。
お便りイラスト

《しお風90便みんなのお便りへの反論に対する筆者中井さんの説明》
 
筆者は、「消滅の町になぜ借金でバベルの塔を?」と題する拙文を、本紙第90便(8月10日付け)「みんなのお便り」コーナーに投稿したが、その後「代案のない反対は無責任」というご批判があったので、急ぎご説明したい。

その拙文は、そもそも5月12日午後ラデイアンで開催の「シェアにのみや」(総務建設経済委員会主催)における新庁舎建設の趣旨説明と、参加者を交えての質疑応答を基としている。そこでは筆者も疑問を提起し、新設案に変わる代案(後述)にも言及した。

しかるにその会において、委員を含めた参加者ほとんどが、日本社会全体が「人口急減時代」へ突入し、そこから多くの諸問題が派生している事態に気付いてないことに、筆者は愕然とした。それゆえ『しお風』投稿に当たり、大方の注意を喚起するために、とくに人口急減と行政再編成に重点をおいて先の拙文を草した。すでに足柄上郡5町一体の「広域連携」が始まっていることはご承知の通りであろう。

あらためて先の「シェアにのみや」での趣旨説明と討議の要点をまとめれば、①町が1千万円をかけてコンサルタントに委託した調査事業では、耐震構造の検査が庁舎だけに留まり、雨漏りのする校舎を含めて、なぜ全ての施設に渡って実施しなかったのか、②もし仮に現庁舎の耐震性に問題が認められるとしても、なぜ庁舎機能を既存の他施設では代替できないのか、それら疑問点の十分な検討なしで新庁舎建設をいきなり提案するのは、論理飛躍の乱暴な提案であり、はじめから庁舎建て替えという結論ありきの杜撰な耐震検査ではなかったのか、という指摘すら出ていた。③筆者も反対論の一人として、財源のない建設計画の無責任さを指摘したあと、代替施設としてあげたのは学校である。

現在、二宮町(2万7千人)の教育体制は、小学3校・中学2校であるが、人口が5千も多い大磯町(3万2千人)でも小学2校・中学2校の規模である。

二宮の財政が潤沢であれば問題がないが、少子・高齢化の波に覆われ、労働人口の激減による財政逼迫で町が存亡の危機に瀕している現状では、他の市町村と同様に学校の統廃合もやむを得ない状況にあり、したがって庁舎の建て替え問題は、まず既存の施設全体のフル活用の中で検討されるべきと述べた。

先の拙文において1千万円を浪費するような「小手先の対策はもうやめて、住民中心の未来を語ろう」と呼びかけたのは、以上のような経緯を踏まえたからである。それゆえこの問題は、代案がないなら町当局の提案する新庁舎建て替えしかない、という単純な二者択一の問題では絶対にないことを、ご理解をいただけたであろう。

しお風 神保智子