みなさんのお宅にもおいでになりますか?アシダカグモというクモ。
茶褐色で大きく、長い手足(?)は毛深い感じで、家によく出るあの不気味な「彼」です。
私たちの博物館でも、前庭に出入りする掃き出し窓の周辺で見かけます。

博物館は、物を収集、保存し、その魅力を展示等を通じて広めることが使命です。収蔵する資料を食害したり汚損する虫は大敵で、クモもあまり有難くはないのですが、「彼」については、私はひそかに「不動明王」とそのたくましい姿を命名しています。

いつも出入口で他の虫を捕食して侵入を防ぎ、博物館の活動を守護しているように思えてしまうからです。不気味な長い手足も、仏像の光背のように感じることがあります。

ただいま、平塚市博物館は臨時に休館させていただいています。

8月末に、職員が通行する階段で、天井の内装モルタルが剥落する事件があり、幸いけが人はなかったのですが、点検したところ、展示室の階段も危険なのですぐに補修した方が良いと判断されました。急遽、断腸の思いで休館を決め、手を入れることにしました。

業者の方とお話をすると、場所が階段のため足場は複雑になり、しかも博物館の天井はとても高く、壁面に展示があったりするため、思いのほか時間がかかってしまうことが判りました。

一部の機能を除き、年をまたいでなおご迷惑をおかけすることになります。
深くお詫び申し上げます。
 
灯を落とした、お客さまのいない展示室は心細く、職員の気持ちも沈みがちになります。時々どんぐりが落ちる明るい前庭に出ようとして、ふと彼を見かけると、思わず手を合わせるのです。

お不動さま、どうか、わたしたちの博物館をお守りください。1日も早くまた皆様をお迎えできますように。
しお風イラスト201811 (002)

2018年11月10日発行地域コミュニケーション紙「しお風」から転載
 このコラムの執筆者は平塚市博物館館長澤村泰彦さん

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しお風 神保智子