告白しますが、私は温泉が大好きです。
とくに露天風呂にはメロメロです。お湯はもちろんですが、露天風呂は景色も重要ポイント。私の場合どちらかといえば、海や眺望系よりも森林が好みです。
201911しお風イラスト (002)
最近、樹皮ハンドブックというポケット図鑑にハマッています。
樹木の図鑑と言えば、花や葉の写真を掲載するものですが、この本は、ストイックなまでに、切手ほどの大きさの、幹の樹皮写真ばかりをひたすら並べています。また、図鑑は種類を見分けるために用いるはずが、前書きでいきなり「種類を見分ける決め手にはなり得ない」などと宣言しています。大丈夫なのでしょうか、コレ(笑)。

ところが、露天風呂で見かける高い樹木は、花や葉っぱは重なり合うシルエットでしかありません。手前に低木があると、枝ぶりも見えません。別アングルを求めて林に入ってみればよいのですが、忘れてならないのは、こちらは今入浴中でスッポンポンだということです。林に裸足で入るのは危険‥というか、靴だけあってもダメですよね。

そうなんです。お風呂では往々に「幹で見分ける」必要があるのです。
のっぺりと灰色の樹皮や、表皮が剥がれ斑模様のもの、縦に、あるいは亀甲型に樹皮が割れたり、その割れ目が荒かったり、細かかったり、あとは周辺の状況から、かなり樹種の判別がつくのでした。

「ああ、〇〇の大きな木がある」の〇〇が判って林を眺める露天風呂は格別です。お湯に沈んだ葉を拾い、見回して親を探すのも、露天気分を盛り上げます。

あ、ただしこの本は耐水性ではありません。ご注意ください。

2019年11月10日発行地域コミュニケーション紙「しお風」から転載
 このコラムの執筆者は平塚市博物館館長澤村泰彦さん
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「しお風」 神保智子